問い1
ネズミの仲間のレミングは、集団で行動し、川や湖に飛び込んで死ぬことがある。
それは、レミングが異常に増えて、そのままだと絶滅しかねない。そこで、種を存続させるために、一部を残して新天地を求め、たまたま川や湖にぶつかって、「集団自殺」するのだ--ふつう、こう思われている。
しかし、レミングの親戚
日本の社会の中には、職場の同僚がお互いに
牽制〔注2〕するので、
取ってもいいはずの休みも取れない人が確かにかなりいる。小さな会社の社長に頼みこまれると、
したくもない残業をしなければならなくなる社員もいる。そうしないと会社が潰れて失職を
することが
(4)目にみえているからである。その結果「過労死」
などということも稀には起きることになる。
( a )日本人のなかには、仕事が趣味という人も実に多い。ブルーカラーと
呼ばれている人たちの中にさえ、どうしたら仕事の能率が上がるか考えている人は
ざらである〔注3〕。
趣味になりかけているものが、たまたま会社の仕事だから、時間が来たら帰らねばならない、
というのもおかしなことだ。それは(5)プロの楽しみを
妨げることであって、一種の個人の自由の束縛というものである。
ただそれほど働きたくない人は仕事をしない自由を完全に守れるように、
社会は体制を作り変えるべきである。しかし同時に、一律に休みを取れ、
というような社会主義的発想は、いくら世界の流行だとはいえ、自由を
手にしている人間に対しては、個人への干渉であり、非礼である。
(曽野綾子『日本人の心と家』読売新聞社より)
〔注1〕助力を得る:助けてもらう
〔注2〕牽制する:相手に注目して、自由な行動をじゃまする
〔注3〕ざらである:よくある
問1 下線(1)「いつも違和感を覚えている」のはどうしてか。 |
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問2 下線(2)「そこ」はどこか。 |
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問3 下線(3)「人間が週に何時間働くべきか、ということも、ひとりひとりの適切な時間があると思う」のはどうしてか。 |
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問4 下線(4)「目にみえている」とはどういう意味か。 |
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問5 ( a )に入る最も適切なことばは何か。 |
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問6 下線(5)「プロの楽しみ」とは何か。 |
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問7 筆者の主張に合っているものはどれか。 |
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《1999年12月『日本語ジャーナル』より》